ラスト・タイクーン (1976) : The Last Tycoon

ハッピーエンドの物語を創り出すハリウッド黄金時代を背景とした、男と女の愛の物語。監督はエリア・カザン、脚本はハロルド・ピンター、原作はF・スコット・フィッツジェラルド(早川書房他刊)、撮影はビクター・ケンパー、音楽はモーリス・ジャール。

監督:エリア・カザン
出演:ロバート・デ・ニーロ、トニー・カーチス、ロバート・ミッチャム、ジャンヌ・モロー、ジャック・ニコルソン、ドナルド・プレザンス、イングリッド・ボルティング、レイ・ミランド、ダナ・アンドリュース、テレサ・ラッセル、ピーター・ストラウス、ジョン・キャラディンほか

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ラスト・タイクーン (1976)のストーリー

世界に名を覇すハリウッドの大手映画会社インターナショナル・ワールドの役員試写室。ラッシュ・フィルムをまわし、鋭い批評と指示を与えているのは、前代未聞の若さで製作部長に抜擢されたスター(ロバート・デ・ニーロ)。彼はビジネスマンとしても、芸術的センスという意味からでも、すぐれた人間だった。新作を撮影中のスタジオで同社のドル箱二枚目スターのロドリゲス(トニー・カーチス)と、フランスの大女優ディディ(ジャンヌ・モロー)をはさんで、監督のレッド(ダナ・アンドリュース)とのトラブルを処理するのも、スターの役目だ。そして、若くして彼をねたむ人間は、上司の撮影所長ブラディ(ロバート・ミッチャム)。彼はスターに自分の地位を脅かされるのをおそれ、本社の顧問弁護士フランシャッカー(レイ・ミランド)を呼び不安を訴える。

そんなある日、カリフォルニア沿岸を大地震が襲い、撮影所でも貯水タンクが壊れたり、かなりの被害が出た。そして、被害にあっている人間達の中で、スターは今は亡き妻に生き写しの女性を見つける。早速、その女性をしらべさせるスター。数日後、その女性が見つかった。名はキャスリン(イングリッド・ボルティング)。その場はぎこちなく別れた2人であったが、間もなく2人は、あるパーティの席上再会した。そしてなんとかデートの約束をとりかわすスター。当日、マリベ海岸で接吻を交わす2人だが、キャスリンは、「結婚を約束した人がいます。もう2度とお会いしません」とスターに手紙をのこす。そんな2人の仲を、以前からひそかにスターを想っていたブラディの娘セシリア(テレサ・ラッセル)は感づいていた。スターとキャスリンはその後三再び出会う。そして、彼女の結婚を約束した相手のことを聞くスター。でも、2人の別れはせつないものだった--。

やがて、ディディ出演の映画が完成し、その週末、スターは1通の電報を受けとった。「今日結婚しました。さようなら。キャスリン」……。その夜、スターはブラディ家で、映画作家組合の共産党ブリマー(ジャック・ニコルソン)と会い、悲しみにくれ深酒していた彼は、ブリマーと殴り合いを始めた。そして翌日、ブラディは重役会を招集し、スターが情緒不安定であるとして、フライシャッカーと共に、スターを撮影所から遠ざけようとする。重役達が去ったあと、人気のない撮影所に最後の大物スターの孤独な姿があった。彼の脳裡をいろいろな人の面影が横切る。ロドリゲス、ディディ、セシリア、ブリマー、そしてキャスリン--。巨大なサウンド・ステージの暗闇に、この若き権力者は、靴音を響かせながら消えていった--。